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この秋、自然から学ぶアウトドアなSTEAM体験ガイド

3密を避けながら過ごす新しい生活様式が浸透してきた昨今、密室にならないアウトドア体験が人気を呼んでいる。自然はいつだって学びの宝庫であり、STEAM教育の要素にあふれています。今回は都内近郊を中心に、自然に触れられるスポットを紹介!

*お出かけの際は密を避け、施設が定める新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策に従いながら、楽しく遊びましょう!

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もの遊びを無限に伸ばす 
神奈川県逗子市・千葉県佐倉市「原っぱ大学

大人と子どもの境界を忘れて、自然の中でめいっぱい遊ぶことを推奨する「原っぱ大学」。逗子市の山中にある「村や」や、佐倉市の森を使った「佐倉の森フィールド」、大阪府茨木市の「大阪彩都キャンパス」などを拠点に、さまざまなフィールド体験を提供しています。イカダづくりや土器づくりなど、日々生まれるフィールド活動を「ギャングコース」と名付け、元気なギャングたちの自由な遊びに寄り添います。野山を走りながら、正解もゴールもない「名もなき遊び」が生まれるときこそ、最もクリエイティブで学びにあふれる瞬間。四季折々のさまざまなプログラムに参加してみてはいかがでしょう?

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2.
森の中では自由自在 
群馬県赤城山「サンデン・フォレスト

群馬県赤城山のふもとにある「サンデン・フォレスト」は、地元の生態系保全の貢献活動として、自動車用コンプレッサーの生産などで有名な「サンデングループ」が所有する広大な森。環境調査などの取り組みを行う一方、毎週土曜には森の散策道を一部開放しています。デイキャンプやハイキングもできる人気のスポットですが、注目は木工ワークショップや天体観察など、親子向けの自然イベントを年間で随時開催していること。また「森の教室」と呼ばれるゾーンでは、木工やクラフト体験があったり、期間限定でザリガニほかくミッションに参加できたりと多彩なイベントが目白押し。安心して子どもの自主活動を見守れる環境です。

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都心で見つかる豊かな自然 
東京都港区/国立科学博物館「附属自然教育園

東京在住で遠出がちょっと不安な方もいるかもしれません。そこで都心で自然にふれられる、おすすめのスポットをご紹介。目黒駅から歩いてすぐの場所に、なんと江戸時代からの自然の名残が見える植物園が存在します。その歴史は古く、縄文中期の土器や貝塚が発見されるほど。「国立科学博物館」の附属ということもあり、専門家を招いた、子ども向けの本格的な学習イベントを提供しているのもポイント。四季折々の自然観察に役立つさまざまな教材もウェブサイトから無料でダウンロード可能です。

【国立科学博物館公式】かはくチャンネルより

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明治神宮には多様な生物が棲息 
東京都渋谷区/明治神宮「御苑」

都心の自然スポットはまだまだあります。誰もが知る「明治神宮」も、参道から少し横道にはいった「御苑」は驚くほど静寂で、四季の彩りが楽しめることをご存知でしょうか。明治神宮の敷地はもともと畑がほとんどの荒れた土地でしたが、明治天皇と昭憲皇太后をお祭りする神社創建にあたり、第一線の林学者らを集め、100年・150年後を見越して人工の森がつくられていったのです。そして2020年、鎮座百年祭を迎え、新種や絶滅危惧種合わせて約3000種もの動植物が発見されています。参拝と合わせて、つくられて100年を経た豊かな自然散策を楽しむのもいいかもしれません。

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北欧文化にふれるアウトドア体験 
埼玉県飯能市「ノーラ名栗(Nolla naguri)

この夏にオープンしたばかりの「ノーラ名栗」は、北欧文化をコンセプトとしたキャンプスポット。フィンランド式のアウトドアサウナをはじめ、北欧の食文化をたのしめる「コッコバーベキュー」(コッコはフィンランド語で焚き火のこと)など、自然体験だけでなく北欧という異文化を知るきっかけにあふれています。なぜ飯能市に北欧かといえば、ムーミンの物語を主題とした「ムーミンバレーパーク」や、ムーミンの作者の名を冠した「トーベ・ヤンソンあけぼの森公園」が同市内にあったことから。森林豊かな飯能市でアウトドアを楽しんだ後は、北欧の自然が生んだムーミン谷の物語世界の中に入り込む。一箇所で自然も文学も堪能できる注目のエリアです。

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自然で学ぶ“HOW TO”を集めた体験メディア 
WILD MIND GO!GO!

キャンプで思いっきり走り回り、そこらじゅうから虫や石を見つけてくる子どもたち。そんな姿を見て、「もっと自然に関する知識があったら……」と思うことはないでしょうか。「WILD MIND GO!GO!」は、“生き物としての力を取り戻すこと”をテーマに、さまざまな自然体験の遊びや知恵を紹介するウェブメディア。アウトドアや自然活動の教育者もいれば、登山家、研究者、写真家、クリエイターなど、多様な書き手たちが日々寄稿しています。ブッシュクラフト(木の火起こし)といったアウトドアスキルのHOW TOに加え、「葉脈標本をつくってみる」「川辺で天然石を探してみる」といった観察中心のアクティビティ、自然のなかに潜む“美しいカタチ”を探すようなデザインの感性を育む演習シリーズなど、どれも今すぐやってみたいと思わせる記事が満載です。

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【番外編】
瀬戸内の海辺で、自然を学ぶゲストハウス 
山口・上関市 「マルゴト

最後にご紹介するのは、いつか足を伸ばしてぜひ訪れてほしい、地元の文化と自然を文字通り“丸ごと”体感できるゲストハウス、「マルゴト」。穏やかなエメラルドグリーンの海を有する山口県上関市に位置し、「上関のエントランスホール」というコンセプトを持つ体験型宿泊施設です。最大11人が泊まれる宿泊スペースのほか、エントランスにはワークショップやセミナーを開催するスペースも有り。地域の自然や文化を対象とした研究発表や、体験型プログラムなどの交流地点になっています。宿泊者は、地元の漁を間近で見られる「ハモ漁師密着プラン」や、夜間に漁船を走らせ、ウミホタルや夜行性の動物たちの声に耳を澄ませる「ナイトクルーズプラン」などに参加が可能*。地元の自然と文化を見つめ、学びを次世代につなげていく。そんな「マルゴト」の姿勢からは、自然とSTEAMな学びの豊かな接点が見えてくることでしょう。
*予約状況や開催日は施設にお問い合わせください

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塚田有那(ARINA TSUKADA)
編集者、キュレーター。世界のアートサイエンスを伝えるメディア「Bound Baw」編集長。一般社団法人Whole Universe代表理事。2010年、サイエンスと異分野をつなぐプロジェクト「SYNAPSE」を若手研究者と共に始動。16年より、JST/RISTEX「人と情報のエコシステム」のメディア戦略を担当。近著に『ART SCIENCE is. アートサイエンスが導く世界の変容』(ビー・エヌ・エヌ新社)、共著に『情報環世界 - 身体とAIの間であそぶガイドブック』(NTT出版)がある。大阪芸術大学アートサイエンス学科非常勤講師。
http://boundbaw.com/

Text : Arina Tsukada
Illustration : Lee Izumida

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